“「息子は20年間他人との関係がなく、友だちも一人もいないですから、この現実社会をまったく理解できず、そのため物事の認識や判断が現実離れして、別の世界に住んでいるような状態なんです。でも、何かと現実的な情報が入ってくるので戸惑い、疑問だらけになり、私に質問攻めをするわけですが、現実を知らないからひたすら合理的、論理的な答えでないと承知しない。たとえば、現実の世界には曖昧さやいいかげんな面が混じって理屈では割り切れないものなんだ、という答えでは納得せず、そういう曖昧な現実こそ間違っていると反論してくる(笑)息子はニーチェを知らないのにニーチェと似たような直感があるようで、そのために虚構の現実に違和感を覚え、疑問だらけになり、しかも現実の経験がないですから、ひたすら理論だけに傾いているんです。
でも実際の息子は現実レベルの知識が欠如していますから、すごい幼稚で世の中には運や偶然があることを説明しても認めない。マンガも僕のようなマンガは理解できなくて、相変わらず「ドラえもん」とかを読んでいます。映画にしてもストーリーがないもの(論理的でないもの)は息子は理解できないようです。(つげ義春)」
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